皆さんもとても馴染みのある病名でしょうね。
時々自称アトピー性皮膚炎なので、、、と来院する方も今までたくさん診てきました。 実はまだ、全てが解明されておりません。 原因として、セラミドと言われているものが不足していること、それを産生するための遺伝子に変異が起こっていることといったところが最近解明されてきたことです。 また以前は喘息とは症状が拮抗すると言われてきたことが、喘息と原因が同じではないかと言われてきたりしています。 そんな中、最近治療方法が目覚ましく進歩して新しい外用剤が発売され、生物製剤も増えてきて、重症な方が一気に緩解するケースが増えてきました。 生物製剤は大学病院でしか行えない治療方法ですが。 今でもクリニックではステロイドの外用が治療の中心です。 また重症な場合免疫抑制剤を内服させる方法も保険適応になっています。 しかし、免疫抑制剤は感染症にかかりやすくなることと、血圧が上昇するという副作用も持ち合わせています。 そんな中、現実的な対処方法を示す研究グループもありました。 それが現実的に今患者が恩恵を被れる方法です。 まだ皮膚科学会では表立ってガイドラインには取り込んでおらず、ここでも詳細は書けません。 また結構手間暇かかりますが、とても全身の症状がひどい人には劇的な有効な補助手段だと思っています。 クリニックでは受診した症状によって重症の場合その手順をお教えし、劇的に痒みが抑えられるといった効果を得ています。 免疫抑制剤は止められないと思っていたと話す方もおられます。 しかし残念ながら、どのように管理しても良い状態を維持できない方もいます。 その時は大学病院に紹介し、生物製剤の内服や注射といった治療法を選択していただくしかない場合もあります。 そしてひとつ大切なことと考えるのは、維持期に猫も杓子も保湿剤とこれまで言われてきましたが、外用剤の新薬が開発されて、それが変わってきているということです。 そもそも保湿剤は荒れた皮膚を埋めているだけです。 新薬は他の角化症で内服薬として効果が有る物の成分で、ターンオーバーから正常にしていくものです。 ですから、皮膚が基底層から改善していきます。 外用して改善してきた方々から皮膚の質感が変わってきたという評価を頂いています。 最近、クリニックで管理できるレベルの方にはこの新薬とステロイド外用薬を上手く組み合わせて使用してもらって、効果を認めています。 その方々からはもう保湿剤は要らないと言っています。 これこそが国も目指す大量の保湿剤処方から脱却する、今後目指すべき治療の方向です。 そもそも、肝心なのはアトピー性皮膚炎という診断です。 アトピー性皮膚炎でもないのに、そのように言われている方も多く見受けられます。 アトピー性皮膚炎なのに、治らないからと言って受診される方もいます。 まず、アトピー性皮膚炎かどうかしっかり確認することから始めませんか? そんな中で知っていただきたいのは金属アレルギーによる偽アトピー性皮膚炎です。 偽ですから、そのように見えて、違うものということです。 これは金属アレルギーによってアトピー性皮膚炎の好発部位と同じところに皮疹が見られ、幼少時のアレルギー疾患歴もなく突如現れます。 アトピー性皮膚炎と誤診されて治らない、実は金属アレルギーだったということが時々見られます。 他にもボディーソープによるかぶれや、シャンプーとリンスによるかぶれ、洗剤、柔軟剤によるかぶれなのにアトピー性皮膚炎と言われていたケースも多く見受けられます。 また皮膚科特定疾患と言って、他の疾患で入院した時など、既往歴として申告しなければいけない疾患ですので、軽々しく診断はしません。 アトピー性皮膚炎かもね、などという発言は皮膚科医としてもってのほかです。 今でもアトピービジネスが所々で横行していますが、まずはガイドラインにのっとって、まっとうに治療を行い、プラスアルファで少し他の方法も試す。他の医院に受診したときに、全く分からない方法だから、受診するな、などと言われないようにしておくことも長期的展望で必要です。 また、通院を続けることも結構なストレスですので、極力1ヶ月に1度の受診で済むように内服薬、外用薬の量を処方するようにしています。 尚皮膚科特定疾患Ⅱに分類されており、指導料がかかります。 |
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